【人】 魔法使い ラサルハグ>>19 テレベルム キャンバスが鮮やかに色づいていく様子を見守っていた。 一仕事終えた長身の男の、長く滑らかな髪を、傍らから勝手に一房手に取った。 プリズムを通したように、角度によって複雑に表情を変える色彩をまじまじと眺める。ここまでの動作が無造作すぎるのは、成人男性が相手だから。 「――…テレベルム殿の“色”も、良い色だと思う」 見上げて抜かしたのはそんな言葉だった。 さらさらと音を立てる様にして髪が手から流れた。 「…さて…何の話だったか。 そう…、貴公の言った通り。名残惜しくとも… 次の出会いもまた、善きものだと。そう思いたい。 ……今生の別れでもない。時間は有限だが…、 決して僅かでもない。 次を求めるも再び見えるも、選ぶ事が出来る」 真顔のまま少し首を傾いで、先の問いに答える。 「……善き出会いだったから。 また此処を訪れる事を……私は選ぶよ。 …貴公にとっては…いや、多くの人々にとっては、 改めての出会いとなるのかも…分からないが」 指しているのは、相手の変化について。 一応、察知してはいる。流されれば深く尋ねる事はするまい。 (21) 2022/03/30(Wed) 22:14:11 |