【人】 書生 シキ身に付けたブレスレットと共に どこか、これ見よがしにと携えた本を片手にした 1人の青年が、居並ぶ人々の背を見つめている。 特段、何を探してる訳でも無いらしいままに ゆるりと周囲を見渡して、浮かぶ屋台の光を一瞥し 再びその視線は、小さな人だかりへと向き直る。 「………。」 何であれ、島の外から来て間もない若者というのは こういった場ではよく目立つものだろう。 特に、他の光景にはさして関心を抱こうとせず 会場の隅で舞い揺れる舞子を見つめながら ひどく仏頂面な面持ちを浮かべるその姿は。 (22) 2021/07/20(Tue) 4:46:57 |