【人】 ローグ ギュルセル[──それはいつのことだったか。 新人の練習に付き合って“いつもの活動”をしていたときのこと。 ローグの男は「金目のものは持っていません」と申告する青年に出会った>>20] ……だってよ、リーダー。 [普段は持っていそうな相手に目星をつけてから襲っているが、今回の“首謀者”は新人。練習がてらのターゲット選びは、調べが甘かったのかもしれない。 さてどうしたものかと男が考え始めようとしたとき、目の前の青年は刀を構えたかと思えば目にも止まらぬような速度で空を斬り、間合いを埋めるように氷の壁を作り上げた>>21] ……追うか? [“首謀者”に問いかけてみれば、彼女は「やめとく」と首を左右に振った。 男も同意だった。本気を出させたら面倒そうな相手だからと、避けて通る相手のリストに刀使いの青年が追加された。 とはいえ、冒険者と同じくらい、ならず者たちも多くいる。他の向こう見ずな連中が繰り返し青年を襲ったのだろう。 何度も襲われては確実に返り討ちにしていく噂が知れて、今では彼に手出ししようという者は少数派だ>>15]* (22) 2021/04/29(Thu) 10:41:36 |