【人】 商人 ミロク>>13 フジノ あなたが戻ってくれば、静かに座ってどこかを眺めて居た。 やってくると気づいて、濡れている服に首をかしげる。 一度席を外して、タオルを持ってくれば、 丁寧に髪や顔を拭き始めるだろう。 「お話は、そうですね。 あなたがこの村でどう過ごしていたかなど聞きたいですが。 不都合があれば私の話でもいいですよ。 あまり面白みがないかもしれませんけれど。 少しだけ、贅沢な。運だけがよかった男のお話です」 瞳を見返す姿はまたやけに温かみを帯びていて、 いつか肉の香りが漂う近くまで話はされた。 取引でも、なんでもないただの会話。 あなたがどう答えようと男は語っただろう。 (22) 2021/07/06(Tue) 21:08:58 |