【人】 狐娘 レイ―― 婚儀の日 ―― [朝から憂鬱なため息が漏れる。 婚儀の為と新しく作られた白の衣装を身に纏い、美しく見目を装っても心は晴れないまま。 しずしずと新しい拠点へと向かう列>>3の後方に並んでいた。 川を渡る船には、一族を乗せた船もある。>>14 一族の御曹司様もとうとう捕まったのだそうよ、とか囁く声を聞きながら、帆船へと視線を移した。 逃げ出せるものなら逃げ出したい。 その気持ちは分かるけれど、実際に逃げ出すほどの腹積もりはなかった。 結局、こうして列に並んで婚儀の場へと向かっている。 晴れやかな空が憎らしいと思う程、門出を祝う天候はよく、空を仰ぎみた。] (23) 2021/12/02(Thu) 11:54:29 |