【人】 楯山 一利『ちょっと、カズ。待ちなさいよ!』 「うっせ、バーカ。 良いだろ別に。 俺が何をしよーと、お前には関係ねーじゃん?」 腕を掴んでくるその手は、容易に振り解くことが出来た。 非力なアイツには、俺を引き留めることは叶わない。 「もう、ガキの頃とは違うんだよ。 いつまでもお節介焼いてくんじゃねーよ。」 吐き捨てるように言った後、アイツの表情はすぐに歪んだ。 眉間に皺を寄せ、悔しさを馴染ませている。 今にも泣きそうなのを、懸命に堪えるかのような顔だ。 (23) 2022/10/13(Thu) 14:06:49 |