【人】 かみさま 尊龍―― 祠からエリサの家まで ―― [雨の中、久しぶりの人間の姿で私は歩く。 雨でも濡れぬ美しい私の羽衣。 近寄れば違和感を感じても、ここに人は少なかろう。 里は昔よりも変わってしまった。 道は田畑の畦道ばかりではなく、灰色の硬い道もある。 変な灰色の柱や黒い変な線も所々にある。 たまにとても速い鉄の塊が道を走ってくる。 愛し子の縁を辿るかつて歩いた里の道。 人間の世の移り変わりは雨雲よりも早いものだなぁ。 そんなような和歌を一句読みつつ。 空を見上げれば謎の鉄の鳥が一羽飛んで行った。 まったくもって、不思議なものだ] (23) 2020/09/12(Sat) 16:55:27 |