【人】 魔神 ハーレフアールアレフに呼ばれた応接間には、何故か木があった。 ……こんな木あったっけ?前回は違う部屋だったのかな。 見た事のないものにおそるおそる近付いて、私ははっと気付く。 「これ、お菓子…!果物も!」 素直に喜んで、これは食べて良いものかとアールアレフを見やる。 彼女は優雅に頷いたから、私は喜んで木に飛び付いた。 すごい、すごいすごい! 食べ物をこんな風にするんだ、出来るんだ! そっか、これを見せたくて呼んでくれたのかな。 そう言えばいつぞやのご主人様に世界中の美食を願われた事もあったなぁ…。 願いを叶えた途端ランプごと放り出されて、あれは…肉料理にダイブしたんだっけ。しばらくランプがお肉臭かったのを覚えてるもの。 まあその後、召使が私(というかランプ)を略奪して口で言えない下剋上をしていたから人間って血生臭い…いやお菓子の前で考える事じゃないかな。 「すごいね!これ砂糖菓子………ヘイダル?」 同意を求めて笑顔で振り返り、そこにあった表情に私は瞬いた。* (23) ときいろ 2019/06/15(Sat) 20:48:20 |