【人】 行商人 美濃─露店のお客・九郎と一二三─ [何かを探しているようで、買い物をすることはなかった男性>>10と歳の頃は同じくらいか、壮年の男性二人が露店にやってくる。>>17 杖をついた男性が、長髪の男性に簪や飾り紐を見遣り問いかけるのを聞いて>>18、彼に勧めたのかと思い、似合う色はどれかしらと斜め上の方向に考える。 よくよく会話を咀嚼すれば、“まだ早い“、“土産に“と言っていたのだから、簪はまだ早い年頃の少女のためだと思い至る。 聞けば姪御への土産だと知れたろうか。 尋ねなければ娘への贈り物と女は思い込んだだろうから。 あの、ただ露店を見つめるだけで佇んでいた彼も、女の空想とは違う生活や思いを抱いているのかもしれないとは、女にしては珍しい気づきだった。] 飾り紐ならこの、桃色と白なんて可愛らしいと思うけれど。 赤と白、赤と桃だと派手かしら。 花の形に結ばれた飾りや蜻蛉玉の飾りがついたものもあるけれど。 [等々、一緒に頭を悩ませながら手持ちの品を紹介した。 親族への土産を二人で見繕うものだから、彼等兄弟だろうかと女は思ったが、面立ちは似ていないので違いそうだとは結論づける。 ならば旧知の仲だろうとは会話から。 彼等に妻子があるかは不明だが、いくつになっても仲の良い友人がいるというのも幸せなことだと女は思う。] いっそ、姪御さんとお揃いの飾り紐をつけてみては? そちらのお兄さんも、御髪は短くとも、こう、頭に巻いた装飾の方に…。 [なんて、名案のように言ってみたけれど押し売りのつもりではない。 少女への土産を見繕う様子が二人して、とても楽しそうに見えたから。]** (23) 2022/10/04(Tue) 1:07:26 |