【人】 命灯癒光 リーディエ縋り付くように強く掴む今も自身の異能が発動し、苦しみを伴う。 それとは別に2人によって齎された傷がジクジクと痛んだ。 ノルが話す間、リディは熱のこもる吐息を吐き出すだけ。 彼は何を、言っているの……。分からない…。 ……痛い、 「………………い、で……」 突然の小さな呟きは、貴方達に聞こえるだろうか。聞こえずとも、もう一度繰り返される。 「……ふざけ、ない…………で、」 服を掴む力は更に増し、仮に二度三度と殴られようとも言葉を止めない。 生きてる間であれば、"ずっと一緒"に笑って頷けた。 でも。それは、それは……違う。 「…………わ、たし……は、………あなた、たちの……。 …おもちゃ、じゃ…………、ない……っ」 「わたし、たち………は、……おもちゃじゃ、ない……の…ッ」 始まりが何か、リディは知りはしない。 知った中で同じ言葉を言えるのか、と言われても。 そんなもしもは、今は必要ではない。 「…あなた、たちの……しあわせ、を……………! わた、し……に、…………押し付け、ないで………!!」 服を握っていた手を離し、叶うならその手でノルを突き飛ばす。 勿論支えを失えば、リディはその場に座り込むだろう。 少しずつ、天に昇る光の量は増えていく。 (23) 2022/07/27(Wed) 1:20:13 |