人狼物語 三日月国

112 【R18】アルステラのもとに婚姻を


【人】 狐娘 レイ

―― ちいさな恋の話 ――

[その日は一人で村を抜け出して、泉のほとりで遊んでいた。
泉の周りにだけ咲く花はとても珍しく、花を積んで母を喜ばせようと集めていれば、森から飛び出してきた魔物に襲われた。

為す術なく身を庇っていれば、しばらく経っても痛みはやって来ず、代わりに降り落ちて来たのは幼い声だった。

ぱちぱちと目を瞬かせて、ようやくその姿を見れば紅い髪が濡れたように美しい。]


 わぁ……、きれい。


[魔物に襲われた恐怖も忘れて、初めに出たのはそんな言葉。
それから、心配してくれたのだということに気づいて、はっとした。
驚いた弾みで出た獣耳をぴるぴると揺らしながら、懸命に頷く。]


 う、うんっ。
 だいじょうぶ!

 わたしはまものじゃないよ、
 レイっていうの。

 
(24) milkxxxx 2021/12/02(Thu) 11:56:01