【人】 よろず屋 シラサワ>>2 >>19 「せやなぁ、ま、三日の辛抱や。 言うても島が潤えば廻り廻ってそのうちこっちにも 入って来るさかい、悪い事だけやあらへんな。 その為にも、旦那はんとこも儲けてもらわんとな?」 首を振るユヅルに朗らかに答える。 言ってしまえば経済循環で、この祭りで島が潤えば、 終わった後に消費が増えるだろうという見込みだ。 そう思わんとやってられんのもあるけどなぁ。 「所で、ユヅルはんはまだ若い思うんやけど、 島の外、出たりしようとかは思うてないんか?」 先程五十鈴を見た故か、ユヅルにそう話を振る。 眼鏡の位置を平手で直しつつ、一瞬だけ空を仰ぎ見た。 ありふれた表面的な会話はアザミに届くだろうか? 今も神狼の元暮らす島民たち。 そちらと目が会えば、男は朗らかに手を振り挨拶し、 ユヅルに『あちらはんは宿あるんやろか』 と、話を振ったりなどするだろう。 彼女をヒトで無きと思っておらず、偏見も無く。 (24) 2021/07/20(Tue) 9:54:35 |