【人】 奉公人 ユヅル>>2 >>24 「私は旦那様に御恩があります故。 それに島の外で苦労なく生きられる程、 器用さを持ち合わせておりません」 これまで古い慣習と共に生きてきた。 都会に出て一人暮らせる様な処世術が足りないのだと。 "御恩"について、島に住む者であれば 他に身寄りがないユヅルの面倒を見る形で 主人が宿に住まわせていることを知っているかもしれない。 「シラサワさまは反対に島に移り住まれた方ですが、 自然に振る舞われていて……私には真似できぬ事です」 実情はどうであれ、この少なくとも奉公人には シラサワは島に溶け込んで見えている。 アザミを気にする様子を見て取れば、つられて其方を向いた。 「島ではお見かけした事のない女性ですね。 観光客でしょうか」 『当日分の部屋も空いておりますが……』と続ける。 (25) 2021/07/20(Tue) 12:59:16 |