【人】 京職 一葉「お前が望むもの、は。何も出ないと、言うに…………ッ!」 出ないゆえに、終わらない。 執拗に身体を這い回るそれが、困ったことに心地良く、もういっそこの河原でひっそり其奴を"飼う"のも悪くはないかと思い始めてしまっていたのは、あるいは其奴の毒気に当てられていたのだろう。 い、や……駄目、だ。 もし百継様継置様がこの河原にいらしたら。 継置様はともかくとして、百継様では事案案件だ。 絵面的に 倫理委員会 京職風紀役が黙ってはおるまい。「……っ、さくら、の……ふうじめ……ッ」 吐息混じり、絞り出すように唱えた呪に応え、ざあ、とあらぬところから桜の花弁が周囲を舞い始める。 それは、来たるべきに備え、修練中だった緊縛の術。 私の宝を御守りするためのそれは、対象が何であれ桜の檻で封じ込め────、 カキーンと薄紅色に固まったのは、私と大蚯蚓とが綺麗に閉じ込められた空間だった。 「!?ちょ、私ごと、封じ込めてどうする!?」 斯様な河原で外から見えぬとはいえ マジックミラー号プレイとか 、今更ながらに羞恥心が湧き出た私は、真剣に、それはもう真剣に、抵抗し始めたのだった。[終わらない] (26) Valkyrie 2021/04/24(Sat) 8:52:43 |