【人】 九朗[なにをしやがる、気をつけろと相手はドスを効かせてくるが、ひっかけた足がよほど痛かったのだろう。 今度は一二三の襟首に掴みかかりそうな様相だったが、九朗の肩に片腕乗せて持たれながら、悪ぃなと謝る一二三の足を見てギリリと奥歯を嚙み締めた。 根っからの悪人ではないのか。 それとも一二三の足元を見て思うところがあったのか。 盛大に舌打ちした後で気を付けろと吐き捨てて、逃げた男を追って再び走り去ってしまった。] ………一二三。 [間近にある顔をじとりと見れば、一二三は借りていた肩から距離を取って「なんだよ」と笑う。 それに溜息を吐いたのは九朗の方だ。] (26) 2022/04/16(Sat) 18:37:24 |