【人】 魔神 ハーレフ「いかさま用のさいころ?」 綺麗とは言い難いほったて小屋の床にちんまり座って(ヘイダルのお家には椅子が無かった!)、作業中の彼の手元をじぃっと覗き込む。 私は魔神なので、わざわざ手作業で何かはしない。 ご主人様の望みさえあれば何だってすぐ作れるもの。 だからこそ面白くって、やり方を覚えてみたくて眺めていた。 でも私の視線に何を思ったか、ヘイダルは呟く。 真剣勝負だから、私達との勝負には使わないって。 「え?心配してないよ?」 私はぱちくりと瞬いて、そう返した。 分かりやすいと思ってたけど、案外変なとこを気にする子だ。 ヘイダルが筋の通った子だと言うのは、この数日でも良く分かってるもの。 『した事やしなかった事を後悔したくは無い』 『自分で自分に胸を張れない事はしたくない』 たぶん、その辺の感覚は彼も私も似てるんだと思う。 (26) ときいろ 2019/06/14(Fri) 19:22:26 |