【人】 9949 普川 尚久>>+77 貴戸 「んー……? うん」 寄ってくるあなたの動きをぼんやりと目で追って。それでいて、耳に入ってきた音には淀みなく答えられた。 「涙を流したら、スッキリするだろ? そのくらいのことさ」 それくらいのことか? 自問したが、そうだからそう言ったのだろう。 「ふつうは人にたのむことでないし、見せるもんでもないな。 もっと気をつかうべきだった。さわぎにしてごめんなさい。 おなじことがないように、よくよくかんがえてこうどうします」 渡された反省文を読み上げただけのような、誠意のない言葉だった。 (26) 2021/09/27(Mon) 12:23:48 |