【人】 封じ手 鬼一 百継一葉が淡々と語るは、身の上に起こったことすべて。 かつての姿、不思議な娘との出会い、今の姿になったこと、百鬼夜行に対する考え。 言わずにおけば良いことまですべて、つまびらかに、丁寧に、儂の前に開いて見せた。 ――私……は、百継様の憎しみの対象でございますか……? 一葉。 美しきを愛で、花を歓ぶこの男が、自らの正体を醜いと称するとは、どれほどの恥辱を感じているのだろう。 ずっと、儂の傍に居って儂を守り、常に誠実であろうと心を砕いていた一葉にとって、秘密を抱えて過ごす日々は、息も詰まる心地であったに違いない。 儂があやかしへの憎しみを口にする度、身を焼かれるような思いがしていたのだろう。 知っておるよ、一葉。 そう、儂は知っておるのだ。 (27) TSO 2021/04/23(Fri) 16:12:52 |