【人】 Y『恋人』 クリスタベル愛している。愛している。 繋ぎ合う手はないけれど、見つめ合う目はないけれど。 語らうための声や耳がなくても、抱きしめ合う腕も身体さえなくても。 だってわたしたちはそういう双子、そういう宿命! そういう風に作ったのでしょう、神様が完璧にかんぺきに作り上げた『恋人』とは そういうものなのでしょう? 同じがいいよね、同じがいいよ。だって寂しくないもの。 分かれていたらいつか別れてしまうもの。生きるのも死ぬのも一緒じゃないと 嘘 だから “ 私 ” はいらない 「 わたしたち はクリスタベル・コールリッジ。 二人でひとつ の双子の兄妹だよ。よろしくね 」 生まれる前から完璧じゃなかったと知りながら生きるのは地獄だ。 欠けている。比喩ではなく欠けた半分を探している。探していた。 なぜいないの、どうしてひとりなの、などと言葉に出来ない時からずっと。 貴女が クリス と呼び嘆く半身を、貴方が 兄 と呼び惜しむ片割れを。 完璧でないといけない。だって完璧は欠けてなくてあるべき姿できっとひとりで 生きていることさえ罪で許されなくてでもだったらどうしてわたしはまだ生きて いるのかって誰かに誰かに責められてる気がして息が出来なくて、でも、ああ。 気が付いた。全部 嘘 (27) 2022/12/11(Sun) 0:37:45 |