【人】 陽は落ちぬ 夕凪>>26 編笠へ だから今この祭りの間だけは、 夕凪としてこの夏、ここにいる。 「お願いって、何? わざわざ改まって」 あなたの言葉を聞くために、ここにいる。 ――ねぇ、淡い初恋を話してくれるのが楽しみよ。 大切な思い出が存在したことが嬉しくて仕方ない。 今も思ってくれていたことに胸がいっぱいで。 本当に来ていたら、その手を掴んで、水に飛び込んでいたでしょうね。 お魚さんは、逃げちゃうのかしら、捕まっちゃったのかしら。 夜凪なら、きっとそうしたわ。あなたのことが好きだから。 だから私も、言葉があふれる前に体が先に動いてしまいそうね。 (27) 2021/08/20(Fri) 21:05:45 |