【人】 獣の闘士 ファルーサ■一闘士の抱負 煉獄から戻って来た。 そこは俺の死んだ場所だった。 地面に這っている。 近くにレンガが落ちている。 誰かが立ち去っていく音が聞こえる。 地面には血しぶき。俺の血。かなり暴れた跡がある。 今は出血は止まっているようだ、と手で頭を触って確かめた。 犯人がとどめを刺してくれたことに俺は感謝した。 俺は煉獄に落ちるまで、 名声を妬んで殺されたのだと思っていた。 しかし実際は───戦意を喪失した相手をなおも蹂躙する、 際限ない獣性を御し得なかった己の招いたことだった。 俺が殴り殺した人々と同じように俺も死ななければ、 一生、いや永遠に分からないことだった。 (27) Oarsman 2021/09/24(Fri) 19:51:10 |