【人】 琴羽の天狗 時見[嗤う様に、囁く様に。 口の端をにやり持ち上げて。 もう何度目かも分からない口付けを、 彼女の口元から首筋へと降ろし重ねようか。 唇を伝せるその度毎に、 一糸纏わぬ互いの肌もまた、触れ合い。 薄闇の中、新雪を思わせる琴羽のやわ肌を 少しばかり汗ばんだ俺の体躯が床へと押し付ける。 やがて悪戯な瞳は紅く輝き。 腕の中の彼女の腋に舌を這わせた。 両腕を頭上に縫い止められたままが故に、 きっと彼女から見えるのは、揺れる俺の髪と その背から伸びる二人を覆う翼のみで] (27) 2020/10/18(Sun) 0:42:31 |