【人】 助勤 サクヤ―隠り世・奥の院― 「…あそこで働いていますから。 何度となく、この噂は聞きましたし。 あそこで働く子に、良い雛になれると。 そう言われたこともあるんです。」 だから、だと。まだそう信じ込む。 そう信じていたいから。 それでも、目の前に起きていることに頭が痛んで、目を伏せた。 「それに、神様がそこまで悪いこと なさる筈が…ありません。 そう、…そう。 雛同士が愛で合う姿すら、喜ばれて…?」 そう。 そんな事、どこで知った? わからない。分からなくて、頭を抱える。 そうしているうちに、はあ、とこぼれた吐息は熱い。 頬が染まって。身体の芯に熱が宿る。 (27) 2022/03/18(Fri) 12:28:22 |