【人】 二年生 鳳 凛〜柊一の心配事〜 [“ボク”と言っていた柊一の一人称が“オレ”に変わった日のことを、凛は今でも覚えている。 緊張していたのか妙に間が空いて、その口から今までとは違う一人称を聞いたとき、凛は瞬いて、] ……柊一、今、オレって言った? [きょとんと、少し恥ずかしそうにしている彼の横顔に尋ねたりしたものだった。 “男の子”から“男の人”に変わろうとしていた幼馴染、初めは違和を感じた一人称も今では自然に耳にしている。 同じ学校で学んで、同じ高校に進んで。 重ねた時間に比例するように、お互いを信頼する気持ちは育まれている。 柊一の何か言い辛そうにしていた姿に、そう。 凛はあの時の、一人称が変わった時のことを思い出していた。] (28) 2021/07/23(Fri) 8:23:05 |