【人】 蕃神 雷恩― 現在:植物園 ― [この場所に逗留することになってから 温室の一角、或いはこうした農園に隣接する 植物園に「根をおろす」のは己の日課である。 息を吸い、吐いて。 騒めく木々の葉擦れの音を鼓膜に震わせ 足元の草花が段々と伸び 青々と茂りゆくのを眺めていた 育ち、花開き、実を結び、腐り落ち 巡る生命を邪魔することもない 1つの命の営みを己の胎の中で循環させるように 吸い上げ、還元し。 夜明けの色の瞳が、見上げる天の青を映す。 人間は考える葦なのだ、と 旧人類の哲学者は述べたらしい。 ならば。新人類は。AIらは いったい”何”なのだろう。**] (29) sinonome 2023/11/18(Sat) 12:32:54 |