【人】 封じ手 鬼一 百継(!?) 失念しておった。あやかしに対しては毒となる、協力な退魔の香。 一葉はその中でずっと背筋を伸ばし、語っておったのだ。 「一葉!」 此処は当然人払いをしており、彼を支えられる者は儂しかおらぬ。 自然と体が動いた。 駆け寄り、肩を抱き、そっと肘置きにもたれさせる。 香を消し、襖を開け放ち、風を入れる。 「一葉……あぁ、儂は」 「どうか……」 「もう喋るな、すぐ、休める場所へ」 「……どうか百鬼夜行を御封じ下さい。百継、さま」 「…………!」 心を激しく支配していた抵抗が、まっさら消えたかと言われると嘘になる。 相変らず、あやかしへの拒絶は根深い。 しかしもう、認めざるを得なかった。 儂には、これ以上一葉を苦しめること能わぬと。 儂は今でも、一葉を慕い、彼を信じたいと願っているということを。 「ああ。必ずや。 だから、一葉……どうか、傍で、儂の力になってくれ」 [**] (29) TSO 2021/04/23(Fri) 16:17:54 |