【人】 忘れ屋 沙華>>24 >>25 「でたな万屋、今年はのっけからユヅルに何を吹き込んでいやがる。せかいけいざい?」 好きにはさすまいとばかりにユヅルをぐいと引っ張って寄せたがる。 「はん。さては黒酸塊のColadaなど屋台に仕込んだのは己の差し金だな。」 「旅客に島の特産品とでも思うたれたらどうする」 「次はもっと沢山もってきな。」 見ればその手には既に空となったルジェカシスコラーダ。 実利重視、というより習わしを逸脱する行為もこの口が悪い役人は嫌忌しないご様子。 「ユヅル君がお利巧でいてこそ此処神涙は安泰というものだろ。」 「しかし今日くらいは頃合いば見て休みなよ、もう"はじめは巫女のサクヤ"と決まったことだしな。」 そう事もなげに言いつつコラーダを一杯ぷれぜんと。 >>22 さんざん好き勝手いった後はまた違う相手に目を付けた。 「それで、陰気な旅客も居たものだな。」 「紙の束など持って、帳簿を付けるのは俺の役回りなんだが。」 「はしゃぎまわる連中は小馬鹿らしいかい、ぼっちゃん。」 自分の方がよっぽど日にあたっていないであろう白い顔で、書生にそうくさし始めた。 (29) 2021/07/20(Tue) 15:12:45 |