【人】 4432 貴戸 高志>>+34 廊下の二人 貪られている少年の叫びも、熱に侵されている少年の懺悔も、どれも等しく踏み超えて。 藤色の軌跡を宙に描きながら、いっそ無粋と言えるほどに堂々とした足取りで少年たちの望まない饗宴に割り込んだ。 「……悪いがそこまでだ。 迷彩、辛いだろうが止めさせてもらう」 これが嬌声だけであったのなら態度も違っていた事だろう。だが貴戸が耳にしたのは泣きながら紡がれる謝罪だった。ただの戯れではないと判断して、少年は馬鹿が付くほどの真面目さを持って声をかける。 相手を抱いている少年が達した頃を見計らい、「すまない」と断りを入れて両脇に腕を滑り込ませて後ろから引き剥がそうと試みる。 それから白を基調とした上着を脱ぎ、迷彩の下半身を隠すようにそっとかけようとする。汚れるといった懸念は初めから頭に無い。微塵も躊躇せず行われる事だろう。 これらは全て、迷彩少年が暴れなければの話だが。 (29) 2021/09/23(Thu) 18:29:12 |