【人】 幕末のライダー シロガネ[さて、それに至るまでを振り返ろう 私が文を贈れなかった原因の一端は 君の行動にあったと言っても過言ではない したためた文を渡そうと声をかけた日から暫く 君は私の顔をまともに見なかったり、 私を避けたり、と一悶着あったりしたのだが さっぱり原因が私にはわからなかった 何かまずいことでもあったのか 私が何かしたのだろうか、と 悩んで、悩んで。その結果 自分の思いが相手に伝わって。それが親愛ではない情故に 戸惑い逃げられているのか 或いは、彼にも何か悩みがあって それでも頼られぬほど自分は彼にとっては 心許せぬ存在になってしまったのだろうか、と 思うなら、尋ねればよいものの 生前も、ライダーとして顕現して初めて君と会った時も そして、今も 私という存在は、言いたいことを、 思いを飲み込んでしまいがちだ 近頃漸く、元のような関係に戻れたのだから 言わないでよかった、戒めねばならない 彼が自身に求めるのは友情、或いは家族への情だ 海の底に沈めてしまえと、何度も何度も 抱いた心を淵に、或いは海底に沈めてきた] (30) 2019/04/08(Mon) 0:29:01 |