【人】 埋火 真里花[ 初めて書いた手紙は、 ろくろく文字もかけなくて、 おにいちゃんえ まりかはげんき おにいちゃんはげんき? たった三行を 当時好きだったキャラクターものの便箋に書き クレヨンで書いた人めいたなにかの絵と一緒に ポストに投函した。 あの頃は――どうして離れ離れにならなければ いけなかったのか、理解ができず、 「まりかをきらいになったの」 「いっしょじゃなきゃやだ」 「まりか、おにいちゃんがきらいなとこ ぜんぶ、なおすから、――だから!」 そんな風に泣きじゃくって、困らせてしまった。 歳を重ねるとともに、その理由は理解できたし、 母も、私に嘘は吐かなかった。 ] (30) 2020/12/25(Fri) 23:54:59 |