【人】 怪力 シャオロン――婚儀の日―― [割れたテーブルはそのまま捨てた。 新しいテーブルは「新居」に用意してあると言う。 別の一族の女と卓を囲むなど気乗りがしないが。 身に着けたこともないような白い正装は村が用意してくれた。 他にもこの婚姻に選ばれた人々がいることを思えば、随分な出費になる。 それだけこの婚儀が村にとって重要なのだということがわかる。 選ばれた段階では孤児の厄介払いかと拗ねた気持ちもあったが、冷静に考えてみれば両族の和平の為にいくら年齢が適当だからとはいえ問題のある人間は選ばないだろう。 逃げ出す先もなければ引き留めてくれる恋人がいるでもなし、小龍はテーブル以外を壊すこともなく婚儀の日を迎えた。 持ち物はごく僅かの衣服と武器のみ。 それ以外は置いていく。 何時でも帰れるように。] ……要は、子どもが出来なきゃいいんだろ。 [大事なのは混血だ。 胤なしと言われようが構わない。 子を成せないと分かれば帰ることができるだろうと思っている。] (31) 2021/12/02(Thu) 13:39:13 |