【人】 学生 ガラーシャなどと考えていると、彼が焚火跡に置いた藁に手を添え、こちらを見て、いたずらっ子のように口元に人差し指を立てた。 なんだろう、と、自分もしゃがみ込んで、少し場所をずらして細い木や薪を並べつつ、彼が手を添えたあたりを見る。 そして、次の瞬間、何とも聞き取れない言葉と共に、藁に火が灯った。>>29 火は十分な勢いだ。 藁の火は、細い木に、そして、薪にも移ろうとしている。] 今の、アンディさん、が、やったんですか…。 [驚かせたかな、という声に、視線を薪から彼の顔に移す。] すごい… これが…魔法。 [初めて見た。 サルハドで、彼は自分を人間より精霊に近い存在と言った。 正直、その時は、全く実感が湧いていなかった。 けれども今ならその言葉の意味がわかる。 人間より、精霊に近しいもの。 あの時も、今も、自分の目の前にあるのに、儚く夢まぼろしのように消え去ってしまうもの。 そして二度と自分の前には現れないもの…] (31) 2021/10/03(Sun) 22:46:18 |