【人】 因幡 理恵[料理はやたらと種類が多く、そしてやたらと量が少ない。その分、様々なものを味わえる。一口食べては「おー」感心してはもっもっと頬張った。 フウタの方も、品は違えど似たようなもので>>27、肉や刺身を突く様子に「美味そうに食うの、なんの魚じゃ?」「なんじゃ分からんのか」興味は持ったが「いや理恵はいらん」のーさんきゅーした。「食いたきゃやるが」小鉢とはいえ、こうも品数が多いと満腹だ。 盃を満たす酒も、改まった言い方も、理恵の気を良くさせる。 温かい愛情と同じように、注がれる酒を当然のように受け止めて、酵母の香りに満足気に目を溶かす。荷の重さに耐えた甲斐があった。 くいくい飲んでは「さすが美味いの、雑味なくキレ良く料理を引き立てる。まぼろしのめんじょうしんぱくまいをぜいたくにごじゅっぱーせんとせいまいしているだけのことはあるのじゃ」呪文を唱えながら、ンフーと唇を舐めた。 ちょびっとしか飲めないとは惜しい。フウタに酒を注ぎながら、「美味いから! 美味いから大丈夫じゃ! のみきれなかったら理恵がのむし」にぎにぎ。 居酒屋バイトで覚えた「一気コール」はやめておいた。 令和の世に一気はいかんの。] (31) 2020/12/30(Wed) 11:32:23 |