>>22 >>23 ミロク
どこか戸惑うような雰囲気を出しながら、大人しく拭かれていく。
抵抗なんてしない方がいいと、随分昔に学んだから。
けれど。
こんなに優しい手つきで触れられる事なんて、ほとんどなかった。
「この村、で?
……面白い事なんて、何も、ないよ。
畑や家の仕事を手伝って、学校で勉強をしてただけ」
誰かと遊ぶこともなく。
家と学校を往復して、外の仕事が終われば中の仕事をこなす。
それがフジノの今までの、そして恐らく今後も続くはずの日常だった。
世間話と呼ぶには多少、踏み込んだ会話。
貴方の語る話を、フジノは静かに聞いた。