【人】 4432 貴戸 高志>>+35 >>+36 廊下 ボタンを留め、ネクタイとチョーカーを彼にしては雑な動作でズボンのポケットにしまう。 一度闇谷の頭を撫でてから、今度は藤色の髪は迷彩の方へと流れていった。 「迷彩」 少年の名を呼ぶ声はひどく穏やかだ。 上着で顔を隠した彼の頭を、ぽんと小さく叩く。叩くといっても、あまりにも力が入っていないため撫でると言った方が正しいかもしれない。 「俺は今から暁を部屋まで運ぶ。 そうしたら、今度はお前の番だ。自室でも、戻りにくかったらどこかにでも。送り届けよう。 きっと気にするだろうから、お前は悪くないとは言わない。俺はお前をきちんと叱る。 だから、叱られたくなかったらこの場から離れること。悪いと思ったら、俺に叱られても構わないと思ったら、待っていてくれ。 ……出来るか?」 極めて静かで落ち着いた声が、貴方の頭上に降ってくる。そこに怒りなどは一欠片も混じっていなかった。 (31) 2021/09/23(Thu) 20:29:39 |