【人】 孤児 ヘイダル音も無く、目の前にふわりと少女が降ってきた。 人としての重さを全然感じさせないその所作に、さんざ「魔神とか"自称"だろ」と嘯いた俺も、薄々とだけどこいつは人じゃないんだなって事を悟りつつある。 なら、わざわざ問わずとも、俺の願いくらい当ててみろってんだ。 収穫を問うてくる声に、悪くはなかったと口端を持ち上げる。 「まあ、ぼちぼち?」 先の"客"は良かった。懐に金貨5枚入った袋を抱えていてくれた。 生きる為だけなら、これほどあれば10日は孤児仲間の分も含めて充分腹を満たすことができる。 ────必要なものを、必要な分だけ。 "彼"に出会う前の俺だったら、もうこれで当面の仕事は控えるところだったけど。 (32) Valkyrie 2019/06/14(Fri) 21:28:01 |