人狼物語 三日月国

84 【R18G】神狼に捧ぐ祀【身内】


【人】 書生 シキ

一度は見た顔、二度か三度は見知った顔。
今宵は万屋に古本屋、それに知らぬ男に女が何人か。

旅客として方々を回っていた青年は
この村に暮らす人々の様子を、それとなく記憶していた。
或いは、一度は挨拶を交わしたことがある間柄かもしれない。

>>29
しかし、あなたの姿はその限りでは無かった。
日陰でぼんやりと浮かぶような白い面立ちと
そこにぽっかりと空いたような黒い眼差しが
はらりと垂れる、赤い栞紐を覗かせた本を持つ青年へと向く。

「……いいえ? むしろ誇らしげに見えますよ。
 俺が居た所のものとは、全然雰囲気が違います」

一転して表情緩やかに、甚く関心ありげな返事を成す。
その言葉遣いは、島外の者特有の色を持っていることだろう。

「良い祭りですよ。」

――そう、ぽつりと加えるように呟いて。
(33) 2021/07/20(Tue) 16:11:15