【人】 1年生 工藤美郷[松本先輩の問いかけには、「何をですか?」と返したかもしれない。それが例の少女のことだと知れば] はい。天使さまを見ました。 [混乱することなく話す松本先輩と、淡々と話す工藤。 二人の声が、観客の消えた美術館に、やけに大きく反響する。] はい。誰かが死んじゃったと、信じています。 [工藤は、嘘を疑えるほど情緒が豊かではないから。 信じたうえで、いつも通り過ごす。 じっと松本を見上げていた工藤は、何の脈絡も無く松本の首に、二本の指を当てた。] ……松本先輩は、死んじゃっているのでしょうか。 [もしも振り払われなれば、指先からは命の鼓動と、ぬるい体温が伝わってきていたのだけれど。]* (33) 2022/09/04(Sun) 1:03:47 |