【人】 命灯癒光 リーディエ座り込んで俯けば、視界が真っ赤に染まる。 こんなに殴られても、生きてるのね。 あぁ、私……やっぱり、化け物なんだわ。 でも良かった。だからこそ、こうして。 「………わたし、たち……は、…たよりない、ですか………。 あなた、たち……が……、かかえる、もの………せおえない、ほど…」 「よわい、…………です、か?……どうし、て……………。 みんな、はなし………してくれな、……の」 誰かを疑うのではなく、もっとちゃんと話を出来たら。 こんな結末には、ならなかった。私はそう思っているわ。 こんな私でもね。皆がいるから、生きていけたんだもの。 「…それなら、………わたし、は…。ひとり、で……いい、です。 いたく、ても……つらくて、も………きらわれ、ても…………」 「……………かぞく、じゃ……………なくて、いい………ッ」 背中のナイフに手を回し、小さな呻きを零しながらそれを引き抜いた。 致死量にも満ちそうな程の血溜まりがあるのに、リディはまだ生きている。 どうせ死ぬのなら、こちらの方がより早く。 「ごほっ、……………」 込み上げてくる何かを手で押さえてみるが、全てが 真っ赤 で息をすることも苦しい。でも今は、そんなことはどうだっていいの。 もういいの。 砂で汚れた服は清潔ではないと理解しているけれど、構ってられない。 額の血を拭いとって、 それでも直ぐに真っ赤に染まるけど。 突き飛ばしたノルに向かって、最後の力で飛び込むように──抱きしめた。 (33) 2022/07/27(Wed) 3:17:38 |