人狼物語 三日月国

113 【身内】頽廃のヨルムガンド【R18G】


【人】 骸狩り スカリオーネ

>>@4 フェリックス

「仮に俺が死んでも、この仕事は誰かが引き継げる。
 無論、空中分解する可能性もあるがそれはそれだ。
 どちらにせよ、この街は変わらない」

個人の話が、いつのまにか街の話へと。
そうしてまた、ポケットに手を突っ込む。

「……〈脳刺し〉が行った蟹狩りの船は
 そろそろ帰港ではなかったか。
 それとも既に着いていたか。
 悪いが昨夜は忙しかったんでな」

元凶は元凶でも、一般的な賑わいの方。
国ぐるみの喧騒なら、あなたの方が詳しいはずだ。

肩を竦めて、水平線を見る。
崖下を覗き込んでも、もうそこに花は見えないだろう。
花と同じように、何か、手に対してずっと小さなものを
ひとつ、ふたつ……海に向かって放った。

手を軽く払い、振り返る。
葉巻を一本咥えて、火をつけようとして、
その背に向けて吹いた咎めるような強い潮風に――

ふ、と。いびつにわらって、葉巻をしまいこんだ。
(34) shell_memoria 2021/12/17(Fri) 0:02:35