【人】 教会住みの娘 エヴィ[ 涙の乾いた少女が再度奏でた音は… 先程の演奏も素晴らしかったけれど、 それとはまた天と地ほどにも異なる… 耳に、心に、直に、届く。 明るい陽に照らされて揺れる、 小さな花を次々に咲かせるよう 満足そうな、慈愛に満ちたような表情さえ 想像出来るような、その賛辞が聞こえます。 周りの人達も、うん、うん、と頷きながら 惜しみない拍手を送っていました。 審査員と思わしきその宮廷楽士の女性の名など、 積み上げられた実績など、秘められた思いなど、 何一つ、今は知らないけれど。 この御方の前で歌ってみたいという… 焦燥にも似た感情を抑えるには、 身体中の力を総動員しなくては ならないのでした。 ]* (34) 2020/09/21(Mon) 8:23:01 |