【人】 Marguerite シャーリエ―― 船をこぐ ―― お姉さま お怪我ですか? [花壇の前に立ったお姉さまが右腕を押さえている。 バラの手入れでトゲに割かれたのだろうか。 血の色はバラよりも赤く痛々しい。] <いたいのいたいの とんでいけ> [昔お姉さまがしてくれたように、 傷に手をかざして撫でて、空に放つ。 子供じゃないんだからって笑われてもやめない。] いたいと悲しくなるでしょう。 お茶も美味しくないもの。 <いたいのいたいの とんでいけ> <かなしいのかなしいの とんでいけ> [とんでけって見上げた空は作り物めいた真っ青な空。 とばした痛みや悲しみは空に浮かんで雲になる。 雲を見つけたラッコが寄ってきて、 気持ちよさそうに泳いでから、雲を両手に抱えて齧っていた*] (34) 2020/10/04(Sun) 22:42:47 |