【人】 命灯癒光 リーディエ万年筆をじっと見つめ、何かを考えるように暫し黙する。 そして緩りと、掴んでいた服を離しそれに手を伸ばした。 「…………何故、」 赤く濡れたペン先。 今度は視線をフィラメントの背に向け、目を閉じた。 その時、聞こえたモノオキ(>>33)の足音。 目を開け、制止しようと手をそちらに向けるけど。 既に血塗れた自身の姿に、果たして意味があるのだろうかと動きを止める。 誰かが止めるのなら、その方がいいのだろうと。 代わりに、他にも何か手がかりは無いかと視線を向け。 本と、一枚のメモを視界に映す。 今度はそれに手を伸ばそうとして、赤く染まった指先を眺め。 「…………誰か、これを」 この場にいる人間に向けて、呟いた。 誰も手にしないようであれば服で赤を拭い、今度こそ手を伸ばす。 そうでなければ、読み上げて欲しいとその人に告げるだろう。 リディにはもう、そのメモの内容は見えているが。 それでも皆に伝えるべきだと思うから、そのように。 (34) 2022/07/23(Sat) 12:07:37 |