【人】 メカニック ゾズマ[それでも、惑星統一国家の圧政に抗する闘士であった母は、故郷の話について口を閉ざすことはなかった。 たったひとりの子供であるゾズマにも、繰り返し、昔から伝えられてきた教えを、物語を、その生を生き切った人々のことを、かつてあった星の景色を、語り伝えてきた。] ママ、そんなのより。 [ゾズマは、“わたしたちの民”に限らない分野のほうに、強い関心を示していた。 母自身、己の子が“そういう性質”なのであると見抜いていたからこそ、その子は闘士には向いていないと断じたのだろう。 その母は、己の子を自分のコピーにはせず、ただ好きなことをやらせることにした。 ゾズマの関心――機械いじり。 初等教育機関への在籍時、昼休みにたまたま手作りしていた獅子型ロボットがとある教員の目に留まり才能を見出されたことで、その後の進路は決まった。] (35) 2022/07/15(Fri) 6:45:29 |