【人】 因幡 理恵[周囲の理解と協力により、押入れの要塞は数日の長きにわたって持ちこたえていた。 守っちゃ駄目なんだけど。 すっかり渡すタイミングを見失ったクリスマス仕様のラッピングを、どうしようかなーと時折眺めたりしつつ、アルバイトの無い日は年末の大掃除に勤しんでいた。 フウタが買い物に行った日も、ちょうど仕事が無かった。 飽きっぽいほうだが、掃除は案外楽しい。特に雑巾ダッシュ。 三角巾の下で耳をぴこぴこさせつつ、若干イっちゃった目でズダダダダダッとひたすら廊下を往復していると、「ただいま」耳がフウタの声を拾った。「フウタ!?」] お帰りなのじゃフウタどうじゃしっかりおつかいに励んだか理恵はすごく床をきれいにしとったぞキレイと言えば頼んどった「亀齢(日本酒)」はあったかあれはすごいらしいぞ口に含むととろっとした口当たりから続くふるうつの香りが鼻を抜けて後口はしっかり酸とピリ辛の余韻があるらしくてな辛口なんじゃが飲み口はとても軽いんじゃとどうじゃ美味そうだと思わ [ハイになりながらズダダダダッと駆け付けると、ちょうど「連れて行ってあげたらどうかしら」のあたり>>33だった。] りゅうぐうじょう…… [ぴたっと足が止まる。 何やらその後もおばあちゃんがありがたいこと>>34を言ってた気がするが、懸念に気を取られてまともに頭に入ってこない。 フウタが振り向くと、じりじり後ずさりして「理恵りゅうぐうじょう知ってる」「ご先祖様から引き継ぎしてる」「そこ海の中じゃろ」「海は嫌じゃ」「息ができん」「みずぎは寒いし」「うらしまは気合で乗り切ったんじゃろが」「理恵は無理いや無理とまでは言わんが」「全然怖くないけど」「ほんと余裕じゃが」矢継ぎ早に言い訳を並べたが、フウタの説明>>35を受ければ「……つまり陸にあるのか?」「大きな風呂ってぷうるみたいに深くないか、足はつくか?」「本当に海じゃないんじゃな?」「風呂はフウタとも入れるのか?」おばあちゃんの前とか気にせずに混浴可か確認して、「なら行く」コクコクと頷いた。] (37) 2020/12/27(Sun) 19:02:43 |