【人】 国文学教授 クマガイ─月曜日・正午/私立野薔薇大学・学生ラウンジ─ 八代くん……。 僕のゼミ生だったら少しくらい融通利かせてあげられるんだけどね。 いいかい、もし人に頼み込むときは『もう後がありません』っていうオーラを全面的に出すんだよ。 [すべて綺麗に単位を取っているとも思ってはいなかったのだが、目の前の相手>>36から告げられた実態はなかなかマズい状態だったので、驚きに暫し沈黙したのち同情のような、呆れのような呼気を漏らす。 教員には二種類居る。生徒にある程度の手心を加えてくれる者と、一切の容赦なくボーダーで切り捨てる者。自分は前者だが、後者は八代にとって天敵だろう。 無論、自分も学生時代は完璧に単位を取っていたというわけではないので、学生側の気持ちもよく分かる。 二口目にかぶりついたような頃にかけられた強請りの言葉には咀嚼しながらもこくこくと頷き、飲み込んでから口を開いた] ん、構わないよ、どうぞどうぞ。 ああでも……僕の箸しかないねぇ。 一膳貰ってこようか? (37) 2021/04/05(Mon) 10:21:04 |