【人】 導きの天使 サーリフ振り向いた時ははっきりと敵意を放っていたというのに、アルバリという青年は、サーリフの質問に律儀にひとつひとつ応えてくれた。 言葉は気丈そのものだ。 しかし途中で瞳を不安定に泳がせたことを、サーリフは見逃さなかった。 もっとも、指摘はしない。 ただ、じっと見ていた。 ――頼りたい、かァ〜〜 アルバリは続ける。 頼るものなど自分には必要ない。 自分こそが神そのもの。 他人に何かを求め、寄りかかった途端に弱者に堕ち、人間の尊厳を失う。 なるほど。 "強者"らしい言い分だ。 ……サーリフには、やや早口に感じられた。 何かに追われるように喋る、と思った。 (37) TSO 2021/09/18(Sat) 10:48:44 |