【人】 二年生 稲出 柊一[奥まった場所にあるから、知っている人は限られるけど、 座って綺麗に花火を見られるこの場所の、 ベンチを確保するにはそれなりに早く来る必要がある。 今ではちらほら、立ち見の人も増えてきた。 自分1人じゃ気にしなかっただろうけど、 綺麗な浴衣を着ていて、 洋服が大好きな小牧さんのことを考えて、 巾着の中に入れていた、つぎはぎの手拭>>1:32で、 ベンチの表面を軽く拭いておいたんだ。 メッセージが返ってきたら、了解! とお座りする柴犬のスタンプを返す。 暫しスマホで適当な記事を読んで待っていた。 やがて聞こえてきた自分を呼ぶ声に、立ち上がり。>>26] こっち! [軽く手を振ったんだ。頭のリボン外してたみたいだから、 距離が縮まって浴衣の朝顔が目に入って、 やっと小牧さんを見つけた。 すれ違いざまに人とぶつかってよろけたら、 その肩を掴んで支えようと、条件反射で手が伸びた。] 大丈夫?ゆっくりでいいから、気を付けて。** (37) 2021/07/25(Sun) 12:24:34 |