【人】 商人 ミロク>>32 フジノ 「畑仕事、やったことがないんですよね。 都会では、靴磨きが駅前で盛んです。 まず見た目の善し悪しが気にされないので。 強いて言えば首に何か巻いていると良いでしょう」 「いい先生に、と。そういっていただけて幸いです。 大人相手ばかりだと、疲れてしまいまして。 きっと、あなたたちのような "子供"に慕って欲しかったのかもしれません。 "大人"は醜くて、狡猾で、汚い部分がよく見えますから」 明日には会えなくなっているかもしれない。 そんな思いを抱いて、男は話した。 誰かが一人、また一人。 ―――異常ではない異常の世界で暮らしている。 「"お嫁さん"としての将来を私が受け持つことはしませんが、 あなたがお嫁さんになれる場所は、提供したいですね。 できるだけ、手を回してみましょう。大丈夫ですよ。 あなたは、心優しい、誰かを想える人ですから」 そうしていくつかやりとりをして男は去って行く。 最後に、別れを告げて。 (37) 2021/07/07(Wed) 11:03:14 |