【人】 孤独では死なない兎 ツィオ【ノッテアジト廊下】>>19 >>37 ファミリー ――すれ違いざまに 軽い音で叩いていった手と、軽く重ねられた手に、 目を瞑って、笑いながら満足げに、口の端を持ち上げた。 「おかえり、俺の愛しい悪童ども――」 振り返ると、すれ違っていった怪我人二人の首を 纏めるように両手で抱いて廊下の行く先を指さす。 そこには。 あの日三人で忍び込んで、こってり怒られてなお、 網膜から消えてなくならなかった『街並み』がある。 俺たち大人になり切れない少年が、 ――不要の烙印を押されたはずの孤児が。 何かを求め、希求してしまうほどに光り輝く街並みがあった。 ▽ (38) 2022/08/27(Sat) 19:51:39 |